韓国が漢字を廃止した結果


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古代中国は、甲骨(こうこつ)文字から漢字を作って、昔に漢字が中国と朝鮮半島と日本とベトナムで使われて、現在が中国と日本が使って、北朝鮮とベトナムが漢字を国語の正書法から漢字を正式に廃止して、韓国が漢字教育を廃止や制限して極端に普及度が低くなった。
北朝鮮は、建国の1948年から漢字を廃止して、おそらく1950年代後半から漢字教育がされて、現在も漢字教育が確認されるが、朝鮮語を発展させるために漢字が必要ないとして、廃止すると韓国の出版物が読めなくなるため、一定期間漢字を学ばせて、国内の出版物で漢字を使う必要がなく、そのため北朝鮮で一般的に漢字が使われない。
ベトナムは、17世紀にフランスのカトリック宣教師がベトナム語のローマ字転写法を作って、19世紀後半のフランス植民地以降にローマ字転写法が普及して、1919年の科挙(かきょ)廃止などで漢文の使用領域が狭(せば)まって、次第(しだい)に漢字の使用が減少して、南北ベトナムでも廃止していって、南北統合後の現在だと漢字復活の主張もあって、義務教育の漢字学習の普及化を求める主張もある。
現在の中国と日本は、国の文字として漢字を使用して、北朝鮮が漢字を国語の正書法から正式に廃止しても、一部で漢字を教えて、ベトナムが完全に廃止したのが現状である。

韓国は建国直後の1948年にハングル専用法を制定して、公文書の文字をハングルのみに限定して、当分の間が漢字の使用を認めると定めて、公文書や教科書でハングルの後にカッコでくくって、漢字を表記する並列方式に制限した。
ハングルは、文字・言語というより言語体系の呼び名で、一般的にひたすら「朝鮮語を表記するための表音文字」とされて、10個の母音と14個の子音の組み合わせで表記して、その起源が李氏朝鮮時代の1440年代に登場した「訓民正音」である。
李氏朝鮮4代王の世宗(セジュン)は、自分の民族に言葉である朝鮮語の固有の文字を作るために推し進めて、「民を訓(おし)える正しい音」として、ひたすら漢字を使う支配層・知識層に対して民間に広まった。
朴正煕(パクチョンヒ)政権下の一時期(1968年から1972年)は、韓国政府が学校教育カリキュラムから漢字教育を追放して、メディアもハングルのみの表記を強く要求するなどの漢字排斥政策を進めて、漢字存続を主張した大学教授が職を追われる事件も起きて、学界や言論界が正面から反対運動を展開して、中等教育での漢文教育が容認されて、漢文教育用の基礎漢字も定めたが、その後も漢字教育への関心が低調だった。
しかし1990年代後半以降に一部で漢字存続の主張が強まって、漢字を理解する外国人観光客の利便性を理由に道路標識の地名表記に漢字が併記されるなど、いわゆるハングル専用の徹底度が少し弱まった。
1998年には、漢字教育振興会を発展的に解消して、全国漢字教育推進連合会を結成して、朴正煕時代の陸軍参謀総長の李在田(イ・ジェジョン)が指導者で、漢字が東洋の共通語で、朝鮮語でも日本語並みに漢字を使用して、初等学校での漢字教育を義務付けると主張した。
しかし日本の文部科学省に当たる教育科学資源部は、ハングル専用派の主張を考慮して受け入れず、国防長官が李在田の陸軍士官学校の後輩に当たると目を付けて、徴兵した若者に軍隊の中で漢字の学習と教育を義務付ける準備をしたが、2004年の李在田の急遽を受けて、この計画が暗礁に乗り上げた。
また2005年に国語基本法を制定して、公文書における漢字のカッコ内使用が同法施工令11条例号の定める場合に限定することになった。
2009年2月に首相経験者は連名で、小学校からの漢字教育の義務付けを建議して、それまで漢字教育の是非が学校単位で判断して、課外授業として実施しただけだが、ソウル特別市江南区で区教育庁が主導して、区内の小学校に漢字教育を義務付けて、「同音異義語の意味が分かるようになった」と児童から好評だったと言う。
しかしハングル学会は、「ハングルが世界に誇る科学的文字」「漢字が特権層の反民主的文字」「ハングル専用で不便を感じる韓国民がいない」として、漢字教育強化に反対する姿勢を示した。
韓国政府は、「漢字を教えろと言わなくて、教えるなとも言わない」と、廃止や存続いずれの立場にも組みしない姿勢を示して、漢字復活の問題が政治問題として取り上げられず、あくまで国民個人の問題にすぎないとする。
そのため小学校でも校長の裁量で、漢字を教えることは認められるが、漢字教育に消極的な校長が自由裁量の時間をコンピュータやテコンドーなどの時間に当てて、また積極的な校長でも、市販の教材で漢字教育を行なうため、国民が出身校によって漢字能力に濃淡が出て、この背景に現在の教育現場の最前線にいる世代が、最も漢字教育を受けていない世代なのが最も大きな要因で、漢字復活をより困難にする。
韓国の大学は学部別で学長の裁量で、卒業資格に漢字試験の資格が要求される場合が多く、そのレベルが大学ごとに異なって、およそ2級(2千から2千8百字)から3級級(千から千8百字)が通過に必要な漢字数で、また近年の中国へ進出する企業が急増して、入社試験に漢字試験を受けさせたり、漢字資格の保有者を優遇する企業が増えた。
現在の韓国は、日常的に漢字の混用をする出版物が漢文関係の書籍を除くと、仏教や法学書籍などに限定される。
2014年10月に漢字教育の重要性を訴えた朴槿恵(パククネ)政権は、2018年より小学3年生以上の教科書で、漢字を併用する形で漢字教育を復活することを決定したが、ハングル関連団体からの反発が上がって、韓国の教育科学資源部が漢字併記から脚注での表記などに変更することを発表した。
漢字廃止の矛盾を抱える韓国は、長年に渡って漢字の復活を模索するが、これと言った決め手がなくて、躊躇(ちゅうちょ)するのが現状と思われる。

日本と中国と韓国の漢字の共通語彙(ごい)は、意味が異なる語やニュアンスの異なる語彙もあって、「愛人」が中国だと配偶者で、日本と韓国が恋人と同意で、「関係」が3ヶ国でニュアンスが異なる。
2017年9月に3ヶ国で共通語彙集編纂(へんさん)会議が開かれて、3ヶ国の共通語彙が270個、日韓の共通語彙が563個、中韓の共通語彙が461個、日中の共通語彙が328個、日本語と韓国語の共通語彙が一番多いと発表して、これが韓国の檀国大学のペ・ウンハン教授が韓国の研究陣で選定した語彙の中での調査である。
日本語は、漢字と片仮名(かたかな)と平仮名(ひらかな)で成立して、同様に韓国も漢字とハングルで成立して、経済や産業や学術などさまざまな分野で漢字が普及するが、漢字の読み書きができない人が増えた弊害が韓国で広がって、漢字教育の復活が議論される。

韓国はさまざまな専門分野に加えて、名前も漢字名が一般的だが、読み書きできない世代が増えて、2011年に成均館大学の李明学(イ・ミョンハク)教授が30代から80代の427人を対象に行なった調査で、自分の子供の名前を間違えて書いた人が47.8%に上って、30.2%が一文字も書くことができなくて、若年層ほど漢字を書けない人が多く、崔や鄭や柳などの自分の苗字を書けない人も少なくなかった。
日常はハングルを使って、公式な場や慶弔が漢字を使うケースが多く、身内の結婚式で受付を担当した男性が祝儀袋の漢字名を読めず、相手に聞くのが失礼に当たると番号で整理した例があって、祝儀袋や香典袋の漢字名を写真で撮って、読み方を相談するインターネットサイトも増えたと2017年10月21日付のソウル新聞が紹介した。
名前をハングルで書くべき意見がある一方で、漢字で記載する人がハングル名だと同姓同名が多く、他の人と区別するために普段から漢字で書くと言う。
表音文字のハングルは、漢字が異なっても同じ表記になる語がとても多く、新潟県の朝日酒造の日本酒「千寿」が人気だが、秋田県の天寿酒造の「天寿」もハングル表記で同じになるため、一方が韓国語の商標を取得したら、他方が商標を取得できなくて、販売にも支障が生じることになる。

韓国の漢字教育の廃止は、民族主義で朴正煕大統領が漢字を廃止して、漢字教育が中学校と高校の漢文のみとなって、選択科目で受験にも影響がないから学習者が減って、1980年代に新聞や雑誌も漢字を使わなくなって、小学校での漢字教育が一切禁止となって、教えた教師が懲戒免職など重い処分を受ける。
近年に若者を中心に言葉の乱れが起きて、ある大学生がクムイル(今日)を金曜日(クミョイル)の略語と勘違いした例があって、科学や化学、電気、電位、電力、電話など、漢字を見れば意味がわかる語も丸暗記するしかなく、プン(風)という文字を元に、台風、風景、風力など風を含む語彙力が広がる。
日本人と中国人と台湾人は、言葉が通じなくても筆談を通して、ある程度のコミュニケーションができて、漢字を使う国の中で韓国人だけがコミュニケーションが難しく、漢字教育の復活が韓国人の知識を高めるだけでなく、日中韓の意思疎通に役立つだろう。

韓国は漢字の共通語彙や漢字の人名や若者の言葉の乱れで勘違いした例などがまだ良いが、日韓関係の従軍慰安婦や元徴用工などの歴史問題に発展して、日本を悪(あ)し様(ざま)に言う韓国を許せない。
2017年8月15日に文在寅(ムンジェイン)大統領は、「韓国の建国が1945年でなく1919年」で、「日本と戦って独立を勝ち取った」と言って、韓国の歴史教科書が滅茶苦茶に日本を批判する荒唐無稽(こうとうむけい)な内容と同様である。
韓国の歴史教科書は、「戦時中の叙述がひたすら日本の植民地統治下の人々の過酷な体験と抵抗運動」で、日中戦争の勃発(ぼっぱつ)や真珠湾攻撃にすら触れず、「主要な教科書に広島と長崎の原爆投下の記述もない」状況で、日本の正しい歴史を教える気がない。
韓国の漢字の廃止は、国民の感情優先で事実関係が二の次の歴史観の表(あらわ)れで、自国の言葉ハングルと漢字の扱いに顕著(けんちょ)で、ハングルを「世界一」と自賛する韓国人が自国の言葉にプライドを持つのが分かるが、韓国人のそれが排他的(はいたてき)すぎる。
排他的な動機の主要部分は、中国や漢字そのものへのアレルギーでなく、日本の植民地時代を思い出したくない過去との決別で、韓国の漢字文化の否定でこれまでの自国の歴史の忘却を理解しなかった。
韓国の歴史を記す漢字の否定は、日中の漢字を使う国より文化水準の低い言葉ハングルを使う韓国の衰退を意味するだろうから、意味や価値を捕らえ間違えた馬鹿な決断だった。

自国の言語は全てがハングルという表音文字の韓国は、漢字と平仮名と片仮名を併用する日本人なら、文字という文字全てが仮名文字に変わったらと想像すると、少しでも韓国の状況を理解できるかもしれないが、残らず幼児か外国人のカタコト語に見える偏見を排しても、なんて不便だとイライラするのが自然だろうから、韓国が不便きわまりない言語の混乱状態である。
ただ過去の蓄積から同じ読みの漢字や熟語を想像して、当てはめて意味を類推できるし、ハングルにない「訓読み」の発明から漢字を漢字語でなく、日本の言葉としてごく自然に自分のものとするから、ほぼ問題なく意味を汲(く)み取れるが、韓国の場合がすでに50年間の漢字教育の欠如で、その基本となる漢字の知識そのものが消えて、音から意味を類推するのが難しくなったと言う。
実際におびただしい数の同音異義語が生まれて、2014年2月2日付の韓国日報で、伊藤博文を暗殺した「安重根(アン・ジェングン)義士」の“義士””と“医師”の区別ができず、「その人は何科を診療したのか」と聞いたり、靖国神社の“神社”を“紳士”と間違って解釈するビックリな事例を挙げた。
「44年に渡って続いたハングルだけの教育が産んだ漢字知識の欠落現象で、これが最近は社会のコミュニケーションの食い違いを引き起こして、憂慮の声が高まりつつある」「特に若い人ほど漢字知識の欠落は深刻で、時に世代間のコミュニケーション上の混乱や断絶まで引き起こす」と危機感を顕(あら)わにする。
日本の植民地時代を思い出す反日感情を優先して、韓国の漢字文化の否定が深刻な自国の歴史の忘却を理解せず、ハングルの同音異義語の勘違いなどで、ここまで追い詰(つ)めた韓国政府に問題がある。

さすがに韓国国内でも危機感を覚えた知識人は多くて、主要紙が「漢字は国際競争力」という論陣を張ったり、子供に漢字を学ばせる漫画教材が大ヒットしたり、2012年に歴代首相が全国漢字教育推進総連合会の推進で、李明博(イ・ミョンバク)大統領に「小学校の正規教育課程で漢字教育を実施することを促す建白書」を提出して、韓国も危険性を感じている。
しかし学びで一度楽(らく)を覚(おぼ)えると、なかなか元に戻らず、小学校の教科書に漢字を併記する政策を推進した韓国の教育科学資源部は、2017年の文在寅政権の発足後にそれを廃棄しことが分かったと言い(2018年1月13日付のレコードチャイナ)、「小学生の負担が増える」などの理由が主だが、昔はやったのにと言う批判が通用しなくて、一度失(うしな)ったものがあまりに大きい。

こうした漢字廃止は、韓国人の歴史学習の障害になって、その結果が日韓の歴史問題の元凶になった確たる証拠がないが、日本側も歴史教育でいまだ落ち着かない状況にある。
一国の歴史の断絶は、悲劇を生んでもそれを他国が介入できないが、隣国が間違った方に走っていたら、第三者がそれを警告するくらいならできる。
韓国の漢字廃止の事例は、自国の言語や文字を安易な廃止論や簡略化論に流されない教訓として、日本も考える必要がある。
韓国の反日姿勢は、漢字の廃止という国難を生み出して、漢字文化とハングルの使用の矛盾が露呈(ろてい)して、いつまで馬鹿でかたくなな態度を貫くのだろうか?

韓国と北朝鮮とベトナムが漢字を復活した場合は、日本と中国の本などを漢字で理解する程度にとどまらない。
僕の本は日本語で書いていて、外国語に翻訳するよりも、直接に漢字で書かれた原本を読む方が理解しやすいはずで、外国語と漢字の理解のしやすさが比べ物にならないだろう。
漢字の復活の可能性は、将来的なものも視野に入れるべきだが、まず僕の本の理解のしやすさも考える必要がある。
しかし漢字は世界中の人々が学んで、世界中の共通言語にすべきでないかと僕は思う。

<参考文献>
https://news.yahoo.co.jp/articles/de39070a359af65830cf3ad1e8ee86729b0fd13e
https://zuuonline.com/archives/181794
ウィキペディアの漢字復活論
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