物部(もののべ)氏の系図


これは出版していない3冊目以降の本の著作権を含む。

物部氏の国造(くにみやつこ)に任命された者たちを求めるために系図を示して、インターネット検索した系図を用いて僕の見解を加える。
『国造本紀』に「小市(おち;愛知県越智郡一帯)国造、軽島豊明朝(応神(おうじん)天皇)の御世、物部連(もののべむらじ)の同祖、大新河命(おおあらかわのみこと)の孫の子致命(こちのみこと)、定賜国造」と記されて、物部大新河(もののべのおおあらかわのみこと)の息子の大小市(おおこいち)を孫と間違えている。
大小市の生きた年代は景行(けいこう)天皇時代から仲哀(ちゅうあい)天皇時代で、応神天皇の所が志賀高穴穂朝(成務(せいむ)天皇;正しくはこの天皇が在位せず、仲哀天皇が正解)と記されていなければならず、『国造本紀』の系図や時代に人物の実在年代などが合っていない確実な間違いがある。
『国造本紀』に「風早(かざはや;愛知県松山市の北辺り)国造、軽島豊明朝の御世、物部連の祖、伊香色男命(いかがしこおのみこと)の四世孫の阿佐利、定賜国造」と記されて、伊香色雄命(野見宿禰)の四世孫の阿佐利(あさり)が正しい。
現在の物部氏系図で伊香色雄命(いかがしこおのみこと)の子供が物部十市根(もののべのといちね)とされて、僕の修正した物部氏系図だと物部十市根の父が野見宿禰で、これが正しいと考えられる。
阿佐利の生きた年代は仲哀天皇時代から神功(じんぐう)皇后時代で、応神天皇の所が志賀高穴穂朝と記されていなければならず、やはり『国造本紀』に確実な間違いがある。

『国造本紀』に「久努(くど;静岡県袋井市久努)国造、筑紫香椎朝(仲哀天皇)の御世、物部連の祖、伊香色男命の孫の印播足尼(いなばのすくね)、定賜国造」と記されて、伊香色雄命(野見宿禰)の四世孫の印葉(いなば)を孫と間違えている。
印葉の生きた年代は仲哀天皇時代から神功皇后時代で、仲哀天皇時代に国造に任命されたと記されたのが正しく、静岡県より先の中部地方から東北地方南部まで仲哀天皇3年(西暦254年)までに平定されて、そこの国造が任命されたことは年代的に考えても正しい。
『国造本紀』に「遠淡海(とおとうみ;静岡県西半分一帯)国造、志賀高穴穂朝の御世、以(もって)物部連の祖、伊香色雄命の兒(こ)の印岐美命(いきみのみこと)、定賜国造」と記されて、伊香色雄命(野見宿禰)の孫の印岐美(いきみ)を子と間違えている。
印岐美の生きた年代は仲哀天皇時代から神功皇后時代で、成務天皇時代に国造に任命されたと記されたのが間違いで、正しく求めると仲哀天皇時代となる。
『国造本紀』に「久自(くじ;茨城県久慈郡と日立市と常陸太田市の一帯)国造、志賀高穴穂朝の御世、以物部連の祖、伊香色雄(いかがしこお)の三世孫の船瀬足尼(ふなせのすくね)、定賜国造」と記されて、伊香色雄命(野見宿禰)の三世孫の船瀬宿禰(ふなせのすくね)が正しい。
船瀬宿禰の生きた年代は仲哀天皇時代から神功皇后時代で、成務天皇時代に国造に任命されたと記されたのが間違いで、正しく求めると仲哀天皇時代となる。

『国造本紀』に「珠流河(するが;静岡県東部の大半)国造、志賀高穴穂朝の御世、以物部連の祖、大新川命(おおあらかわのみこと)の兒(こ)の片堅石命(かかしのみこと)、定賜国造」と記されて、『天孫本紀』の物部氏系図で片堅石命が物部十市根の子とされており、どちらの子供とするのが正しいか意見が分かれている。
片堅石命の生きた年代は景行天皇時代から仲哀天皇時代で、成務天皇時代に国造に任命されたと記されているのが間違いで、正しく求めると仲哀天皇時代となる。
これらの国造に任命された地域から3世紀後半頃の古墳が発見された場合、彼らが古墳埋葬者に当たる可能性が高くなって、現代の考古学に期待するのみである。

山無媛(やまなしひめ)は『先代旧事本紀』に記される女性で、皇太子・誉田別尊(ほむだわけのみこと;即位しない応神(おうじん)天皇)の妃で、皇太子・菟道稚郎子皇子(うじのわきいらつこのみこ)の母親とされて、この記述が正しい可能性がある。
和珥(わに)氏出身の日触使主(ひふれのおみ)の娘の宮主宅媛(みやぬしやかひめ)が誉田別尊の妃で、菟道稚郎子皇子の実母だと『日本書紀』に記されていて、『先代旧事本紀』の記述の方が信頼しにくいと普通なら考えるだろう。
しかし和珥氏と物部氏は共に彦坐王(ひこいますのみこ)を始祖とする氏族で、『先代旧事本紀』の山無媛の記述を絶対的に否定する根拠がないのも事実で、和珥氏が物部氏と海部(あまべ)氏の人間に当たることが多くあって、宮主宅媛と山無媛が同一人物の可能性が大いにある。
歴史は一長一短で成立するものでなく、知られざる歴史もあれば語られないものや忘れ去られた歴史もあって、それをひもといていくのが考古学や歴史学の研究であり、非常に崇高(すうこう)な行為なのだと考えられる。

<参考文献>
『日本書紀(上)全現代語訳―全二巻―』
宇治谷孟・著者 株式会社講談社・発行
『別冊歴史読本24 歴代皇后人物系譜総覧』
株式会社新人物往来社・発行
『完訳秀真伝』
鳥居礼・編著者 八幡書店・発行
『新編 姓氏家系辞書』
太田亮・著者 株式会社秋田書店・発行
『推理◎邪馬台国と日本神話の謎 古代物部氏と『先代旧事本紀』の謎』
安本美典・著者 勉誠出版梶E発行
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