根(ね)の国下(くにくだ)り神話


これは出版していない3冊目以降の本の著作権を含む。
『記紀』の原文を青字、僕の解釈を赤字、僕の説明文を黒字で記す。

大己貴神(おおなむちのかみ)が素戔嗚尊(すさのおのみこと)の統治する根(ね)の国に行くと、素戔嗚尊(すさのおのみこと)の娘の須勢理毘売(すせりひめ)が来て、大己貴神(おおなむちのかみ)を見て、互いに目を見て結婚して、素戔嗚尊(すさのおのみこと)の御殿(ごでん)に引き返して父親に報告をした。
素戔嗚尊(すさのおのみこと)は、大己貴神(おおなむちのかみ)に幾つかの試練を与えて、須勢理毘売(すせりひめ)から蛇比礼(へびのひれ)や蜂比礼(はちのひれ)という道具などを受け取って、試練を乗り越える。
大己貴神(おおなむちのかみ)は、寝ている素戔嗚尊の髪の毛をつかんで小屋の垂木(たるき)に結び付けて、大きな岩をその小屋の戸口に引きすえ、妻の須勢理毘売(すせりひめ)を背負って、ただちに素戔嗚尊(すさのおのみこと)の宝物である生太刀(いくたち)と生弓矢(いくゆみや)と天詔琴(あめののりごと)をたずさえて逃げた。
逃げ出した時に天詔琴(あめののりごと)は木に触れて、大地が鳴動するような音がして、寝ていた素戔嗚尊(すさのおのみこと)がこの音を聞いて、目を覚まして小屋を引き倒したが、垂木(たるき)に結び付けた髪の毛をほどいている間に、大己貴神(おおなむちのかみ)は遠くに逃げのびて行かれた。
素戔嗚尊(すさのおのみこと)は、黄泉比良坂(よもつひらさか)まで追いかけて来て、はるか遠くに大己貴神(おおなむちのかみ)の姿を望み見て、大声で呼びかけて言った。

「お前の持つ(いくたち)と生弓矢(いくゆみや)で、お前の腹違いの兄弟を坂のすそに追い伏せ、また川の瀬に追い払って、お前が大国主神(おおくにぬしのかみ)と現国魂神(うつしくにたまのかみ)になって、我が娘の須勢理毘売(すせりひめ)を正妻として、宇迦山(うかのやま;出雲大社の東北の御埼山(みさきやま;出雲御埼山)の麓(ふもと)に太い宮柱を深く掘り立て、空高く千木(ちぎ)をそびやかした宮殿に住め」と言った。
そこで太刀や弓でもって兄弟の八十神(やそがみ)を追い退けた時、坂のすそごとに追い伏せ、川の瀬ごとに追い払って、国作りを始められた。

八上比売(やがみひめ)は、先の約束通り大国主神(おおくにぬしのかみ)と結婚して、出雲にやって来たが、正妻の須勢理毘売(すせりひめ)を恐れて、生んだ子供を木の股(また)にさしはさんで、因幡(いなば)に帰って、子を名付けて木俣神(きまたのかみ)またの名を御井神(みいのかみ)と言う。


大己貴神(おおなむちのかみ;飯入根(いいいりね)を神格化)は、根(ね)の国(北陸地方)に行って、素戔嗚尊(すさのおのみこと;日本武尊(やまとたけのみこと)を神格化)の娘の須勢理毘売(すせりひめ;布忍姫(ぬのおしひめ)を神格化)を正妻にして、生太刀(いくたち;草薙剣(くさなぎのつるぎ)か?)と生弓矢(いくゆみや;天鹿児弓(あめのかごゆみ)と天羽羽矢(あめのははや)と天詔琴(あめののりごと;天逆鉾:あめのさかほこ)を入手して、大国主神(おおくにぬしのかみ)と現国魂神(うつしくにたまのかみ)を名乗った。
須勢理毘売(すせりひめ;布忍姫(ぬのおしひめ)を神格化)から蛇比礼(へびのひれ)と蜂比礼(はちのひれ)を与えられて、十種(とくさ)の神宝(かんだから)の中に蛇比礼(へびのひれ)と蜂比礼(はちのひれ)の名前があって、素戔嗚尊(すさのおのみこと;日本武尊(やまとたけのみこと)を神格化)が古代天皇家の宝物を強奪して、出雲王国に持ち去ったと考えられる。
素戔嗚尊(すさのおのみこと;日本武尊(やまとたけのみこと)を神格化)は、80人ほど兄弟がいて、義理の息子の大己貴神(おおなむちのかみ;飯入根(いいいりね)を神格化)に異母兄弟の八十神(やそがみ)がいて、義理の伯父伯母(おじおば)に当たる。
大己貴神(おおなむちのかみ;飯入根(いいいりね)を神格化)は、八上比売(やがみひめ;誰を神格化したか不明)の息子の木俣神(きまたのかみ;別名を御井神:みいのかみ)が物部(もののべ)氏の出石心大臣命(いずしこころおおおみのみこと)を神格化した可能性があって、その理由を述べたのを『但馬国司文書』の章に任せる。


須勢理毘売から蛇比礼と蜂比礼を与えられたと記して、参考文献『日本の神々『先代旧事本紀』の復権』に十種(とくさ)の神宝(かんだから)の中に蛇比礼と蜂比礼の名前を記す時、素戔嗚尊が出雲王国に亡命する時に古代大和朝廷の宝物を強奪したと考えられる。
生太刀(いくたち;草薙剣(くさなぎのつるぎ)か?)と生弓矢(いくゆみや;天鹿児弓(あめのかごゆみ)と天羽羽矢(あめのははや)と天詔琴(あめののりごと;天逆鉾:あめのさかほこ)と蛇比礼(へびのひれ)と蜂比礼(はちのひれ)は、日本武尊(やまとたけのみこと)が大和で強奪して、出雲王国で婿(むこ)養子の(いいいりね)に管理させたと考えられる。
根(ね)の国は、黄泉国(よみのくに;冥界)と同じ黄泉比良坂(よもつひらさか)があって、黄泉国(よみのくに)と同一か同じような世界と考えられる。
八十神(やそがみ;日本武尊(やまとたけのみこと)の兄弟)の排除の後、出雲大社を築造して、大国主神(おおくにぬしのかみ;飯入根(いいいりね)を神格化)を祭ったと考えられる。
日本武尊(やまとたけのみこと)の80人ほどの兄弟は、義理の息子である飯入根(いいいりね)の異母兄弟の八十神(やそがみ)に神格化して、義理の伯父伯母(おじおば)に当たって、間違いない史実(歴史上の事実)に基づく。

根(ね)の国下(くにくだ)り神話は、『古事記』を基(もと)にして、日本武尊(やまとたけのみこと)と飯入根(いいいりね)の関係を神話化した。

<参考文献>
『日本書紀(上)全現代語訳―全二巻―』
宇治谷孟・著者 株式会社講談社・発行
『古事記(上)(中)―全三巻―』
次田真幸・著者 株式会社講談社・発行
『完訳秀真伝』
鳥居礼編・著者 八幡書店・発行
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