根(ね)の国下(くにくだ)り神話

『記紀』の原文を青字、僕の解釈を赤字、僕の説明文を黒字で記す。

大己貴神(おおなむちのかみ)が素戔嗚尊(すさのおのみこと)の統治する根(ね)の国に行くと、素戔嗚尊(すさのおのみこと)の娘の須勢理毘売(すせりひめ)が来て、大己貴神(おおなむちのかみ)を見て、互いに目を見て結婚して、素戔嗚尊(すさのおのみこと)の御殿(ごでん)に引き返して父親に報告をした。
素戔嗚尊(すさのおのみこと)は、大己貴神(おおなむちのかみ)に幾つかの試練を与えて、須勢理毘売(すせりひめ)から蛇比礼(へびのひれ)や蜂比礼(はちのひれ)という道具などを受け取って、試練を乗り越える。
大己貴神(おおなむちのかみ)は、寝ている素戔嗚尊の髪の毛をつかんで小屋の垂木(たるき)に結び付けて、大きな岩をその小屋の戸口に引きすえ、妻の須勢理毘売(すせりひめ)を背負って、ただちに素戔嗚尊(すさのおのみこと)の宝物である生太刀(いくたち)と生弓矢(いくゆみや)と天詔琴(あめののりごと)をたずさえて逃げた。
逃げ出した時に天詔琴(あめののりごと)は木に触れて、大地が鳴動するような音がして、寝ていた素戔嗚尊(すさのおのみこと)がこの音を聞いて、目を覚まして小屋を引き倒したが、垂木(たるき)に結び付けた髪の毛をほどいている間に、大己貴神(おおなむちのかみ)は遠くに逃げのびて行かれた。
素戔嗚尊(すさのおのみこと)は、黄泉比良坂(よもつひらさか)まで追いかけて来て、はるか遠くに大己貴神(おおなむちのかみ)の姿を望み見て、大声で呼びかけて言った。

「お前の持つ(いくたち)と生弓矢(いくゆみや)で、お前の腹違いの兄弟を坂のすそに追い伏せ、また川の瀬に追い払って、お前が大国主神(おおくにぬしのかみ)と現国魂神(うつしくにたまのかみ)になって、我が娘の須勢理毘売(すせりひめ)を正妻として、宇迦山(うかのやま;出雲大社の東北の御埼山(みさきやま;出雲御埼山)の麓(ふもと)に太い宮柱を深く掘り立て、空高く千木(ちぎ)をそびやかした宮殿に住め」と言った。
そこで太刀や弓でもって兄弟の八十神(やそがみ)を追い退けた時、坂のすそごとに追い伏せ、川の瀬ごとに追い払って、国作りを始められた。

八上比売(やがみひめ)は、先の約束通り大国主神(おおくにぬしのかみ)と結婚して、出雲にやって来たが、正妻の須勢理毘売(すせりひめ)を恐れて、生んだ子供を木の股(また)にさしはさんで、因幡(いなば)に帰って、子を名付けて木俣神(きまたのかみ)またの名を御井神(みいのかみ)と言う。


大己貴神(おおなむちのかみ;飯入根(いいいりね)を神格化)は、根(ね)の国(北陸地方)に行って、素戔嗚尊(すさのおのみこと;日本武尊(やまとたけのみこと)を神格化)の娘の須勢理毘売(すせりひめ;布忍姫(ぬのおしひめ)を神格化)を正妻にして、生太刀(いくたち;草薙剣(くさなぎのつるぎ)か?)と生弓矢(いくゆみや;天鹿児弓(あめのかごゆみ)と天羽羽矢(あめのははや)と天詔琴(あめののりごと;天逆鉾:あめのさかほこ)を入手して、大国主神(おおくにぬしのかみ)と現国魂神(うつしくにたまのかみ)を名乗った。
須勢理毘売(すせりひめ;布忍姫(ぬのおしひめ)を神格化)から蛇比礼(へびのひれ)と蜂比礼(はちのひれ)を与えられて、十種(とくさ)の神宝(かんだから)の中に蛇比礼(へびのひれ)と蜂比礼(はちのひれ)の名前があって、素戔嗚尊(すさのおのみこと;日本武尊(やまとたけのみこと)を神格化)が古代天皇家の宝物を強奪して、出雲王国に持ち去ったと考えられる。
素戔嗚尊(すさのおのみこと;日本武尊(やまとたけのみこと)を神格化)は、80人ほど兄弟がいて、義理の息子の大己貴神(おおなむちのかみ;飯入根(いいいりね)を神格化)に異母兄弟の八十神(やそがみ)がいて、義理の伯父伯母(おじおば)に当たる。
大己貴神(おおなむちのかみ;飯入根(いいいりね)を神格化)は、八上比売(やがみひめ;誰を神格化したか不明)の息子の木俣神(きまたのかみ;別名を御井神:みいのかみ)が物部(もののべ)氏の出石心大臣命(いずしこころおおおみのみこと)を神格化した可能性があって、その理由を述べたのを『但馬国司文書』の章に任せる。


根(ね)の国下(くにくだ)り神話は、西暦250年代に出雲王国(物部(もののべ)氏)に亡命した日本武(やまとたけ)天皇が婿(むこ)養子の飯入根(いいいりね)に三種の神器を管理させて、皇位継承権のために邪馬台国(大和国;やまとこく)の敵を排除する神話である。

生太刀(いくたち;草薙剣(くさなぎのつるぎ)か?)と生弓矢(いくゆみや;天鹿児弓(あめのかごゆみ)と天羽羽矢(あめのははや)と天詔琴(あめののりごと;天逆鉾:あめのさかほこ)と蛇比礼(へびのひれ)と蜂比礼(はちのひれ)は、日本武尊(やまとたけのみこと)が大和で強奪して、出雲王国で婿(むこ)養子の飯入根(いいいりね)に管理させたと考えられる。
根(ね)の国は、黄泉国(よみのくに;冥界)と同じ黄泉比良坂(よもつひらさか)があって、黄泉国(よみのくに;地獄)と同一か同じような世界と考えられる。
八十神(やそがみ;日本武尊(やまとたけのみこと)の80人近い兄弟)の排除の後、出雲大社を築造して、大国主神(おおくにぬしのかみ;飯入根(いいいりね)を神格化)を祭ったと考えられる。
日本武尊(やまとたけのみこと)の80人ほどの兄弟(皇族)は、義理の息子である飯入根(いいいりね)の異母兄弟の八十神(やそがみ)に神格化して、義理の伯父伯母(おじおば)に当たって、間違いない史実(歴史上の事実)に基づく。

根(ね)の国下(くにくだ)り神話は、『古事記』を基(もと)にして、日本武尊(やまとたけのみこと)と飯入根(いいいりね)の関係を神話化した。

<参考文献>
『古代日本史への挑戦』
著者・僕 発行・株式会社オカムラ
『続・私の半生と古代日本史』
著者・僕 発行・株式会社オカムラ
『日本書紀(上)全現代語訳―全二巻―』
著者・宇治谷孟 発行・株式会社講談社
『古事記(上)(中)―全三巻―』
著者・次田真幸 発行・株式会社講談社
『完訳秀真伝(上巻)』
編著者・鳥居礼 発行・八幡書店
『ホツマ辞典』
著者・池田満 発行・ホツマ刊行会
インターネットの不明サイトから少々拝借

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